編集

  • 楽譜編集者ってなんですか?

    楽譜編集者ってなんですか?

    2020年から2023年の間に楽譜編集者として働いていました、というと必ず「何をやってたんですか?」と聞かれる。安心してください。私もやってみるまで知りませんでした。ただ、今はフリーランスになったので、前職の職務内容が多少想像できた方が仕事の幅が広がるかなと思い、ここに簡単にまとめてみることにする。微に入り細に入り、というわけではなく、本当にざっくりですが、もしご興味あれば。 なんでその仕事を始めたのか これは簡単である。受かったからだ。当時私は就活をしており、音楽関係の仕事先を探していた。教育機関を考える一方で、私はもし音楽をしていなかったら出版社で働きたかったと思うくらいには出版社に憧れがあり、その上ちょうど良いタイミングで求人が出ていたので思い切って応募した。かなり悩んだので、締め切り日の消印で郵送したのを覚えている。とはいえ、職務内容は想像もつかなかったので、自分の経歴で受かることはあまり期待していなかった。面接でも「楽譜編集者って何をするんですか?」と聞いたくらいだ。だから受かった時にはとてもびっくりした。驚いたそのままの勢いで引越し、仕事を始めた。人生はご縁。 何をやってたか ・担当作に関わる企画、著者とのやりとり、権利関係のこと、デザインに関わること、宣伝関係のこと ・楽譜、文章、翻訳(英日)の校正、校訂 ・お客様対応 大きくまとめるとこんな感じである。それぞれの仕事は作品によってかなり違うのだが、大体はこんな感じ。私はほぼピアノ楽譜をやらせてもらっていた。 担当作に関わる企画の部分は、多分「編集者」という仕事を考えるときにまず思い浮かぶ部分だと思う。「この本を出したいです」と言って企画会議に出したり、お金の計算をしたり、解説や運指をしてくれる著者とやりとりしたり、著作権関係のことを調べて許諾をとったり、楽譜の中や表紙のデザインを考えたり決めたり、その本に関連するコンサートやレクチャーで即売をしたり、実務的なことだ。自分に足りない部分だったので、ここを鍛えられたのはとても良かった。 2番目は楽譜の内容に関わること。楽譜の校正というのは、新しく出る楽譜の音やリズム、表示記号、指番号など、楽譜全体が意図通りに表記されているか確認する作業。文章の校正は前書きや解説部分などで、書籍校正に比べると当然少なかった。翻訳の校正は原文と日本語訳を見比べながら意図通りに訳されているか、日本語として意味が通るか、などを確認する作業。私の場合は英日の校正がほとんどだった。校訂というのはもう少しクリエイティブな部分が加わる作業で、楽譜を数ある版のどれを基にするか決めたり、楽譜にいくつかパターンがある中でどれを採用するか決めたりする(実際にはもっと多岐にわたるけど、大きくまとめるとこんな感じ!)。 最後のお客様対応が一番簡単に想像できると思う。電話対応したり、質問に答えたり、必要なら楽譜の修正をしたりする。 楽譜の編集者というと、新しい曲の企画なんかを見て「おお、なんといい曲なんだ。出版しよう」という新作出版の仕事も想像されると思うし、実際そういう事もあるのだが、私の場合はほぼクラシックのピアノ楽譜に担当が偏っていたため、全くの新曲を担当することは多くなかった。でもそれとは別に隠れた名曲を掘り出す、みたいな作業は時々あって、それは大好きだった。あとは出版された曲を演奏してYoutubeに載せる、みたいなことも時々あって楽しかった。 まとめ かなりあっさりとしたまとめだが、こんなことをやっていました。もっと詳しく知りたいことがあれば、お尋ねください。ちなみにフライヤー制作が趣味になったのも楽譜編集をやったからです。