ミシガンには地震がない

ミシガンには地震がない。日本に住んでいたときはちょっとガタッとするとすぐ立ち上がっていたが、ここに住むとそういうことを忘れてしまう。ドラマの「SHOGUN」で地震描写が出てきても、にわかには地震と気づかないくらい、非日常と化している。それからこれまで住んだ限りでは、ミシガンには大規模なハリケーンもあまり来ないようだ。夏になるとすごい夕立が来たりはするが、時々ニュースで見るように、何千世帯も避難するという事態は起こったことがない。というわけでミシガンは住むには結構安全な場所であると言えるかもしれない。冬の寒さを除いては。

なぜミシガンの安全性をわざわざ書き出しているかというと、良いところを書かないと嫌になりそうなくらい今寒いからだ。昨冬がわりかし暖かかったので油断していたが、今年は寒い。一月にマイナス20度まで下がったので今年の一番寒い時期はもう過ぎたかと思ったが、来週またマイナス22度まで下がるらしい。

寒いだけならまだ良いのだが、問題は運転である。雪が降って道が凍結すると、滑って運転が本当に大変なのである。基本的に高速道路や人通りの多い道は除雪剤を撒きまくりながら走る除雪車が道をずっと走っており(ありがとうございます!)、道が凍ることはあまりないのだが、数年前、毎週土日の早朝に出勤していた際は除雪が追いつかず、道がカチコチの状況で運転する必要があった。ハンドルが効かなくなってしまったことも何度かあり、周りの車がスピードを落としてくれたり、コントロールが戻ってきたりで事なきを得たが、今でも夢に見るくらい怖かった。また、雪が降ってくる中での運転は視界が悪くてそれも怖い。普通道だとよく分からないところで車道を渡ってくる歩行者もいるので、ハラハラする。

とはいえ、今は留学時代に比べると運転好きな夫もいれば早朝出勤も今のところなく、状況は格段に良いのだが、それでも雪の日の運転をすることになると色々なトラウマが蘇ってきて緊張する。昨夜もコンサートに行ったのだが、かなり雪が降ったあとだったので道路状況がやや悪く、会場に行くまででだいぶ消耗した。自分はこれよりもずっと大変な修羅場をこれまで乗り越えてきたはず、と自分に言い聞かせないと運転できない。車で15分の距離なのにバカみたいだ。

ミシガンの季節は冬が半年あり、残りの半年を春夏秋がつつましく分け合っているという感じなので、この冬もまだまだ続きそうだ。もう映画も結構観たし、ドラマも観たし、家には本もあまりないので、あと家でできることは猫と遊んで譜読みするくらいかもしれない。猫とは本当にありがたい存在である。ラプンツェルも猫を飼っていたら外に出たいと思わなかったかもしれない。

寒さの話がいつの間にか猫への感謝へと変わっていた。常時猫のことを考えているので、全ての話が猫に帰結するのは当然のことであろう。あたたかいフワフワと一緒に、もうしばらく冬を耐え忍ぶこととします。

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