アメリカと日本はいろいろ違うところがあるが、アメリカは州によって子供が一人で外を歩いたり留守番したりしてはいけないという法律があるところは一つ大きく違うと思う。そういう法律がなくても、学校にはみんなバスで行っている。子供達だけで道を歩くのは危ないので仕方がない。私は自分が子供の頃、毎日まあまあな距離を歩いて学校まで通っていたので、アメリカの子どもたちはそれを経験しないのかと思うとなんだか不思議な気分だ。
散歩とはいいものである。散歩好きな作曲家もたくさんいた。ベートーヴェンの散歩好きはよく知られていて、絵画にもなっている。

《孤独な巨匠-自然を散策するベートーヴェン》
良い絵だよね〜。好きだ。ちなみに宮澤賢治もこの絵が好きだったようで、写真を撮るときに真似たものが残っている。有名なお話ですな。

散歩が好きな作曲家や小説家は多いが、それもそうかと思う。一人で作品を生み出すというのは孤独な作業で集中力が途切れたら続けられないし、ずっと机に向かい合っていると体が鈍る。散歩のいいところは思い立ったらすぐに一人で始められるところと、一銭もかからないところだ。健康にも良い。気分転換にもなる。悪いところが一つもない、素晴らしい趣味だ。
コロナ禍の間、偉人たちにならって、というわけでもないがどこにも行けないので私もひたすら歩いた。当時は江古田に住んでいたのだが、そこから池袋や中野方面はもちろんのこと、池尻大橋や神楽坂など、気が向くままに東京を歩いた。いつもは電車で通り過ぎていく道をひたすら歩いていくことのなんと正直で確実なことだろうか。歩くことは嘘をつけないのが良い。足を動かせば進む。そうでなければとどまる。身体が脳みそと繋がっていることを実感する。
東京は夏になると蒸し暑いけど、それを除けば歩くのが本当に楽しい街だ。住宅街と繁華街が交互に現れるし、アイディアに満ちた楽しい店がそこかしこにあり、駅から駅へ少し移動するだけで街の雰囲気がガラッと変わる。東京は街の景観を考えて作られていない、見た目が美しくない、というポストを以前見たことがあるけれど、異を唱えたい。東京は面白いし、美しい街だ。
ミシガン、というかアメリカは全体的に、人口が集中するところ以外は歩行者のための街づくりはされていない。そもそも歩道がないところも多い。けれど公園が多く、そういうところに行けばかなりきちんと整備されている。歩きたければ車で公園まで行って歩く、という感じだから、都会以外では東京みたいに無為に歩くことができないのが難点だ。ただかなりちゃんと手入れされていて野生動物なんかも住んでいることが多いから、自然を味わうにはとても良い。
どこで散歩してもそれぞれ良さがあって楽しいのだけど、自分が今いない場所に突然散歩に行きたくなるのはちょっと寂しい。日本でぶらぶら歩きたいけど、そうするとアメリカが恋しくなるんだな。


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